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葬儀

エンバーミングとは?依頼方法や費用相場、メリットを解説!手順も

エンバーミングは遺体腐敗防止措置の一つです。
土葬を中心とする西洋で発達しました。
遺体にエンバーミングを行った著名人の例としてはマイケルジャクソンが挙げられます。

近年、死後から葬式までの期間の長期化に伴い、エンバーミングを行うケースが増えてきています。
今回は、エンバーミングについて、実際の手順等、様々な事柄を解説してきます。

エンバーミングとは?依頼方法や費用相場、メリットを解説!手順も

エンバーミングとは

病院

エンバーミングとは遺体の衛生保全を主な目的とした、遺体の処置方法の一つです。
エンバーミングは著名人の遺体を安置する際や、海外で亡くなった方を本国に輸送する際に行われてきました。

埋葬方法が土葬が中心である西洋地域で感染症防止のためにエンバーミングの技術発達が進んでいますが、日本でも徐々にその存在が知られてきています。

エンバーミングの主な特徴としては

  • 専用資格保持者がエンバーミングを行う
  • 専用施設で処置を行う

の二つが挙げられます。

エンバーミングの資格

エンバーミングは血液の処理等の高度な技術が求められるため、エンバーマーと呼ばれる専門の資格保持者が行います。
エンバーマーの資格は日本遺体衛生保全協会(略称:IFSA)の養成校で認定を受ければ取得可能です。

エンバーミングの専用施設

エンバーミングの主な処置は全身の血液を保存用の液体に置き換えることです。
体内から抜かれた血液は処分されますが、この処理には自治体の届出が必要です。

また、 遺体の中には病原体やウイルスが残存しています。
衛生的な観点からも感染防止を目的とした完全防護の体制が必要となります。

遺体に触れる場所として、医学部の解剖室等が挙げられますが、空気感染や消毒用のホルマリン液、血液・体液の凝固装置などの専用設備が必要となります。

そのため、エンバーミングも同様に、行う際には専用施設が必要となり、遺体を輸送する必要があります。

エンバーミングの歴史

土葬が中心となる西洋でエンバーミングの技術は発達していきましたが、古くは紀元前のエジプトに遡ります。
エジプトのミイラがエンバーミングの起源です。

腐りやすい内蔵の摘出と、腐敗防止効果のある植物を詰めることで遺体の腐敗防止措置が行われてました。

その後中世ヨーロッパではミイラ製造際の技術を受け継ぎ、内蔵の摘出と腐敗防止の植物の詰め物に加え、遺体をタールを塗ったシーツで包んだ後に土葬をしていました。

現在の形となるまで

現在の血液と薬液の交換技術が確立したのは、17世紀のホルマリンの発見がきっかけです。
標本の作製に伴い、血管系の防腐剤の注入技術が確立しました。

エンバーミングが流布するきっかけとなったのは南北戦争です。
戦死者の遺体を故郷に長距離輸送する必要性が生じたために、技術が急速に発展し、今の形態となりました。

エンバーミングのメリット

メリット

エンバーミングを行う上でのり利点は大きく分けると以下の二点です。

  • 遺体の長期間保存が可能
  • 故人の方らしい姿でお別れができる

遺体の長期間保存が可能

処置法法 期間
通常の措置 3~4日程度
エンバーミング 10~14日程度 ※

(※処置によってはこれよりも長期の保存も可能だが、日本遺体衛生保全協会の規定として、50日以内に火葬する必要がある)

上の表にあるように、 エンバーミングで遺体の措置を行った方が遺体の保全期間が圧倒的に長いです。

エンバーミングを使用しない通常の措置の特徴

遺体の腐敗防止措置として、日本ではドライアイスによる冷却によって体温上昇を抑える手段をとるのが主流です。

しかし、 ドライアイスの冷却効果は肉体の中でもドライアイスが置かれた直下の部分にのみしか現れません。

特に夏場の場合は高温多湿の環境となるため、腐敗防止期間はより短くなります。

また近年、葬儀件数の増加のために葬儀までの期間が長期化する傾向にあり、遺体を長期間自宅に保管しなければならないケースも増えてきています。

その場合、遺体からの腐敗臭に悩まされる事例も増えてきています。

エンバーミングの処置を受けた遺体では腐敗が起こらない

通常の措置のみでは完全な腐敗防止とはなりません。
ゆえに時間が経つにつれ臭い等に悩まされることも多いです。

しかし、エンバーミングの処置では消毒・殺菌を適切に行い、薬剤も投与されるため、臭いも気にならない程度になります。

エンバーミングを受けることによる二次感染防止

前にも述べましたが、 エンバーミングは滅菌措置が適切にとられれるため、遺体を触れたことによる感染のリスクがほとんどありません。

遺族の方などが処置後の遺体に触ったとしても、感染することはまずないでしょう。

二次感染のリスクが低くなるという理由から、海外等で亡くなった際に 遺体にエバーミングの処置をすることを義務 とする国もあります。

しかし、エンバーミングは遺体の血液を入れ替えるという大規模な処置を行うため、宗教的観点から密葬を行う場合があります。
※海外で密葬後、本葬を日本で行うケースが多いようです。

故人の方らしい姿でのお別れ

腐敗防止処理や二次感染防止のための滅菌処置だけでなく、遺族の方のお顔の修復や化粧もエンバーミングの措置に含まれます。

長期間の闘病生活で麻痺等が残った場合は顔が歪んでしまったり、事故による損傷が激しい場合だと生前の面影が残ってないこともあります。

また、腐敗・消毒・殺菌等の処理を適切に行ったとはいえ、死後の遺体は乾燥し、時間経過とともに体内からは水分が抜けてきます。

乾燥が進むと唇が薄くなってしまったり等と面影も徐々に消えてしまいます。
顔の凹凸がなくなってしまい、別人のようになってしまう事もあります。

また、腐敗防止処理のみでは血色の良さや肌艶等、死後硬直による皮膚の硬さは取り戻すことは不可能です。

しかし、エンバーミングは故人の方の写真をもとに遺体の修復、化粧を行うため、よりその人らしい姿で最期のお別れをすることができます。

その人らしい姿で最期の別れを告げるということはその方の尊厳を守ることにも繋がります。

日本におけるエンバーミング

エンバーミングは埋葬形態が土葬中心であったことを背景として発達しました。
そのため、欧米ではエンバーミングの利用率は九割程となっています。

一方元来火葬主体で、感染症のリスクが無かった日本ではあまりエンバーミングを行うケースは多くありませんでした。

エンバーミングは専用資格取得者や専用施設が必要となります。

大規模な葬儀会社でエンバーミングの提供も行っている業者も存在しますが、中小の葬儀会社に依頼をした場合は、専用業者の仲介となる事例が主となります。

また、西洋と日本のエンバーミングの依頼は

  • 西洋が遺体の長期的な保存
  • 日本は葬儀までの比較的短期保全

という目的において異なります。

エンバーミングの依頼方法

方法

エンバーミングは基本的に葬儀会社に依頼を出します。

しかし、日本ではそもそもエンバーミング用の施設が少ないため、大規模葬儀会社を除き、多くはエンバーミング業者の仲介となります。

その際、多くの場合で以下のものが必要となるので注意してください。

  • 故人の方の二親等以内の方の署名を含むエンバーミング依頼書
  • 死亡診断書・死亡検案書の写し
  • (必要であれば)故人の方の衣類・髪飾り
  • 生前の表情確認のための写真

エンバーミングの費用相場

費用

エンバーミングの費用は処置費用だけでなく、遺体搬送に伴う費用も含まれます。

故人の方一人に対して業者に直接請求した場合の相場は以下のようになります。

内容 金額
エンバーミング処置 150,000円~250,000円
遺体搬送 50,000円~100,000円

遺体搬送は病院から専用施設まで、専用施設から自宅までの距離によって変動します。

また、業者に仲介をしてもらった場合は仲介料が取られるため必要な金額がこれを上回ります。

エンバーミングに伴う費用は健康保険の対象外 であることも注意してください。

エンバーミングの手順

手順・流れ

エンバーミングは全身の血液を腐敗防止のための薬液で満たすことで保全を行います。

ゆえに薬液を注入する際に、遺体に複数個所管を通すための切開を行うのが特徴です。

業者によって手順は様々ですが、実際のエンバーミングの主な流れとしては以下のようになります。

  1. 遺体の殺菌処置
  2. 体腔の殺菌処置
  3. 顔を整える
  4. 血管への薬液の注入
  5. 体液の吸引と傷口の縫合
  6. 体腔への防腐、殺菌処置
  7. 全身の洗浄・着衣・化粧

①遺体の殺菌処置

病院で医療器具等は外されているので、エンバーミングの専用施設に入った遺体はまず着衣やガーゼ、包帯を取り除きます。

その後、スプレーで消毒液を全身に塗布し、体表の微生物や病原体の殺菌を行います。

②体腔の殺菌処置

体腔とは内蔵と体内の隙間のことをさし、呼吸器や内臓が体腔にあたります。

遺体表層の殺菌処理後、病院にて体液流出防止のために体腔に詰められた医療用の綿を取り除き、体腔も脱脂綿を用いて消毒・洗浄を行います。

③顔を整える

死後の遺体は乾燥していくため、皮膚の上にあらたに油膜を重ね、保湿機能を整える必要があります。

油分を多く含むクリームやオイルを塗布した後は、目、口を閉じさせ、より柔和な顔となるようにします。

④血管への薬液の注入

まずは血管に薬液を注入するため、動脈・静脈に管を挿入するための切開を行います。
その後、動脈から薬液を注入し、静脈から血液を排出します。

大体は右鎖骨部分と左右どちらかの太ももに約1cm~2cmほどの切開を行った後に管を挿入し、処置を行う場合が多いです。
薬液の注入後はマッサージをして血液の排泄をします。

⑤体液の吸引と傷口の縫合

内蔵に残った食物物や排泄物、体液などは腐敗の原因となるため、専用の装置で吸引します。

また、薬液や体液の予定外からの場所の流出を防止するため手術痕や切開した部分の縫合を行います。

⑥体腔への防腐、殺菌処置

内蔵や口内等の体腔は外気に触れやすいために腐敗が他の部分と比べ進行しやすいため、高濃度の薬液を入れます。

⑦全身の洗浄・着衣・化粧

消毒剤による全身洗浄をもう一度行った後、写真を参考に生前に近い姿になるよう着衣や化粧を施します。
また、遺族の方の方から衣服等を持ってきた場合はそれを着させることも可能です。

【コラム】エンバーミングとエンゼルケアの違い

違い

エンバーミングと似た単語にエンゼルケアと呼ばれるものが存在します。
エンゼルケアとは死後の遺体の処置方法の一つであり、遺体の腐敗防止、故人の方をより生前の近い状態とすることが目的です。

しかし、エンゼルケアは専用の資格取得者や独自の施設を必要としません。
主に行われるのは医療現場であり、場合によっては遺族の方も関わることができます。

また、 腐敗防止措置としては冷却や可能な限りの体液の排出が主であり、全身の血液を保全の薬液と入れ替えるなどの措置はとりません。

その分遺体の保存期間は短縮されますが、エンゼルケアの方がエンバーミングよりも圧倒的に安く費用を抑えることが可能です。

エンゼルケアに関しては、こちらの記事を参考にして下さい。

エンバーミングで故人の方の尊厳を守ったお別れを

エンバーミングについて、そもそもの意味や金額、そして依頼方法等を解説してきました。
専用の技術者、施設が必要であるため費用は高額ではありますが、遺体の長期的な保存が可能という利点もあります。

現代の葬儀件数の増加にともなう火葬場の不足、葬儀期間の長期化の問題に対して、エンバーミングを行うことは解決の一つの手段として数えることが可能です。

また、処置を受けた遺体は冷却を必要とせず、かつ死後硬直が解けた状態で自宅に帰されます。

最期のお別れの際に亡くなった方に触れた際、冷たさを感じるのではなく、触れた際に手を握ったりしてその柔らかさを感じることで生前に近い姿でお別れをすることで、より悲しみが和らいだ状態でのお別れができるのではないでしょうか。

みん終編集部

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