みんなの終活 | 今知りたいライフエンディングのこと
葬儀

御詠歌とは?宗派・流派で異なる!使用道具や声明との違いも解説

皆さんは、「御詠歌」とは何か知っていますか?
霊場巡礼やお遍路に赴く際に、御詠歌を知っていると、より信仰を深めることができます。
ここでは、御詠歌について、御詠歌の各流派の特徴まで、詳しく紹介しています。

御詠歌とは?宗派・流派で異なる!使用道具や声明との違いも解説

御詠歌とは

寺

御詠歌とは、 仏教の教えを和歌にし、それに音楽を付けて唱えるもの です。
仏教の信者が寺院を参拝するときに御詠歌を唱えます。

御詠歌には、 仏や仏教の教えを讃える という意味があります。
御詠歌は 自分で唱えることで功徳を受けることができる とされており、聞くことを通して功徳を受けるお経とは異なります。

御詠歌の構成

御詠歌は、元は 五・七・五・七・七の31文字から構成されている和歌 であり、讃仏歌とも言われます。
この和歌に単調なメロディーを付け、 鈴(れい)鉦(かね) を用いて唱えろことによって、仏を讃えます。

御詠歌の中でも、この31文字の和歌からなるものは 「詠歌」 、七五調や五七調の歌からなるものは 「和讃」 と呼ばれます。
また、詠歌と和讃を合わせて作った御詠歌もあります。

御詠歌で有名な巡礼地

御詠歌は巡礼地ごとに異なっており、仏教の信者は巡礼地の中を巡りつつ、その巡礼地の御詠歌を唱えます。
ここでは、御詠歌が有名な巡礼地を2つ紹介します。

西国三十三所

近畿地方を中心に分布している33箇所の霊場を、まとめて 「西国三十三所」 と呼びます。
御詠歌は、西国三十三所で花山院が読んだ和歌に、後から巡礼者が旋律をつけたことから始まりました。

御詠歌との関わりが最も深い巡礼地だと言えるでしょう。

これらの霊場は全て観音様を信仰する霊場であり、「三十三」とは、観音様が衆生を救う際に、「仏身」や「自在天身」といったような、全部で33の姿になることに由来します。
この33箇所の中には、清水寺や六波羅蜜寺、興福寺といった、有名な寺院も含まれます。

西国三十三所の全ての位置がはっきりと示され、民衆に親しまれるようになるのは、15世紀後半ですが、平安時代末の院政期に観音様の信仰が盛んになったため、その時期にはすでに西国三十三所の前身がありました。
最も歴史の長い巡礼地であり、日本文化遺産にも登録されています。

ここで、西国三十三所の御詠歌の第1番である、青岸渡寺(せいがんとじ)の御詠歌を紹介します。

補陀洛(ふだらく)や 岸打つ波は 三熊野(みくまの)の 
那智(なち)のお山に ひびく滝津瀬(たきつせ)

補陀落とは、観音がいらっしゃる場所のことであり、青岸渡寺から見える那智滝の滝が落ちる音と、人々が参拝の際に唱えるお経の音が、響いているという意味です。

四国八十八ヶ所

四国に分布している88箇所の寺院を、まとめて 「四国八十八ヶ所」 と呼びます。
四国の寺院といえば、「お遍路」で有名です。

お遍路とは、菅笠(すげがさ)という笠や白装束などを身につけ、四国八十八所を巡り、参拝することを言います。
この88箇所の寺院は、全て空海との関係が深い寺院です。

お遍路には、その空海の歴史をたどるという目的があります。

ここで、四国八十八ヶ所の御詠歌の第1番である、霊山寺(りょうぜんじ)の御詠歌を紹介します。

霊山の 釈迦のみ前に巡り来て 
よろずの罪も 消えうせにけり

宗派・流派で異なる御詠歌

僧侶、坊

御詠歌には、宗派ごとに流派があります。
今回は、その中でも有名な御詠歌の流派を紹介します。

  • 天台宗の御詠歌
  • 真言宗の御詠歌
  • 浄土宗の御詠歌
  • 臨済宗の御詠歌
  • 曹洞宗の御詠歌

天台宗の御詠歌

叡山流(えいざんりゅう)

叡山流は、終戦後まもなく設立された、「 叡山講福聚教会 」によって大成された御詠歌の流派です。
戦争によって不安定な世の中になってしまったことを受け、御詠歌によって、人々に再び安心をもたらすことを目的として作られました。

幽玄で美しいメロディーが特徴的です。

真言宗の御詠歌

  • 大和流
  • 金剛流(こんごうりゅう)
  • 密厳流(みつごんりゅう)
  • 豊山流(ぶざんりゅう)

大和流

大和流は、大正10年に、山崎千久松という人物によって作られた御詠歌の流派です。
千久松は御詠歌の節を11つに整理し、「 大和講 」という団体を発足させました。

大和講は、御詠歌の歌集を全国で販売したほか、御詠歌の詠唱のコンクールを催すなど、御詠歌の伝承に広く貢献しました。

また、御詠歌の検定を設け、その検定を通過した者には階級を与えました。
これには、階級を得た者に弟子を多く持たせて指導させることで、御詠歌の普及を促進させるという意味があります。

大和流は、 御詠歌の伝承に最も変化を与えた流派 だと言えるでしょう。

金剛流(こんごうりゅう)

金剛流は高野山真言宗の御詠歌の流派です。

もともとは、他の流派の御詠歌を転用していた、独自性のない流派でした。
昭和の時代に入ってすぐ、基本の音楽理論を編集し、金剛流オリジナルの指導法や所作を作りました。

当時は長調の曲がほとんどで、みやびやかな印象を与えます。
また、 宮・商・角・徴・羽 の5つの音で構成されています。

密厳流(みつごんりゅう)

密厳流は、真言宗智山派の御詠歌の流派です。

昭和6年に、「 密厳流遍照講 」という団体が設立され、金剛流と大和流を基調として大成されました。
高音で柔らか な印象の御詠歌が多いです。

豊山流(ぶざんりゅう)

豊山流は、真言宗豊山派の御詠歌の流派です。

昭和23年に「 豊山流大師講 」という団体が設立されたことによって大成されました。

空海や豊山流の総本山である長谷寺の観音菩薩のお徳や、仏教の教えなどを歌にしています。
また、 生きている喜び を表現したり、あるいは 故人の冥福 を祈るなど、様々な御詠歌があります。

これらの他にも、真言宗東寺派の東寺流などがあります。

浄土宗の御詠歌

吉水流(よしみずりゅう)

昭和20年に、浄土宗の布教運動の一環として、吉水講が設立され、吉水流詠唱を広めました。

吉水流詠唱とは、先ほど紹介した「 詠歌 」・「 和讃 」と、それらの歌に合わせて、体を動かして仏を讃える「 」の3つのことを言います。

詠歌は、その多くが浄土宗の開祖である法然の御作の歌です。
和讃には、浄土宗の行事に参加する上で、その本来の意味を知るために作られたものが多いです。

心の表現 を大切にしており、御作を用いて御詠歌を作ったり、それに舞をつけるなどの工夫をしています。

この他にも、浄土宗西山(せいざん)派の西山流などがあります。

臨済宗の御詠歌

  • 花園流
  • 独秀流(どくしゅうりゅう)
  • 鎌倉流

花園流

花園流は、臨済宗妙心寺派の御詠歌の流派です。
岩田貞雲という人物によって、大和流をもとに大成されました。

唱える際に、柔らかく上品な所作を伴うことで有名です。
昭和11年に「 大慈協会 」という団体が設立され、その後昭和25年に名称を変え、「 無相教会 」となりました。

御詠歌によって禅の精神をより深め、より多くの人々の心を清めたいとの願いから作られています。

独秀流(どくしゅうりゅう)

独秀流は、臨済宗南禅寺派の御詠歌の流派です。

昭和31年に、「 南禅会 」という団体が設立され、昭和38年に「独秀流南禅教会」と名称を変えました。

臨済宗の開祖である栄西と、栄西を迎え入れた亀山法皇を讃え、御詠歌を唱えることを通してその教えに親しみます。
また、独秀流の御詠歌は、 尺八 を用いて唱えます。

鎌倉流

鎌倉流は、臨済宗円覚寺派・建長寺派の御詠歌の流派です。

鎌倉流詠歌講 」という団体が存在しています。
心を1つに唱えることで無心となり、禅の精神を深めるとされています。

また、音階が 7つの音 で構成されており、 五線譜 が用いられているのが特徴的です。

これらの他にも、臨済宗東福寺派の慧日(えにち)流などがあります。

曹洞宗の御詠歌

梅花流(ばいかりゅう)

昭和27年に、密厳流を基調として大成されました。

曹洞宗の開祖である道元や、曹洞宗の太祖大師と言われている瑩山禅師を讃え、先祖を尊びながら御詠歌を唱えます。

柔らかく落ち着いた 曲が多く、 平穏な心 で唱えることができます。
梅花講と呼ばれる信仰活動が、各地の曹洞宗の寺院において行われています。

このように、御詠歌には多くの流派があり、他の流派をもとにして大成された流派や、独自の所作や構成を用いている流派など、その特徴は様々です。

御詠歌で使用する道具

おりん

御詠歌を唱える際、音を鳴らすために欠かせない道具があります。
ここでは、それらの準備の仕方や、使い方も含めて紹介します。

  • 必要な道具
  • 準備の仕方
  • 持ち方と音の鳴らし方

必要な道具

  • 鈴(れい)
  • 鉦(かね)
  • 撞木(しゅもく)
  • 房(ふさ)
  • 紋(もん)
  • 打敷(うちしき)
  • 数珠
  • 経本

鈴(れい)

前後に揺らすことで音が出ます。
鈴の音は、煩悩から覚まさせる意味を持つと言われています。

持鈴と言われることもあります。

鉦(かね)

金属製で、皿のような形をしています。
撞木で打つことによって音が出ます。

鉦吾(しょうご)と言われることもあります。

撞木(しゅもく)

鉦を打って鳴らすための道具です。
撞木の「撞」の字は、丁字型であることを表しています。

房(ふさ)

鈴や撞木に付けて用います。
色によってその人の御詠歌における階級を表します。

紋(もん)

房に付けて用います。
紋は、宗派によって異なります。

鈴を構える高さの指標にもなります。

打敷(うちしき)

道具を床の上に置く際、打敷を敷きます。

打ち敷に関しては、こちらも参考にしてください。

数珠

宗教別数珠一覧

御詠歌を唱える際に、腕に掛けます。
宗派ごとに数珠も異なり上の画像のように大きく違います。

数珠に関しては、こちらもご覧ください。

経本

御詠歌の和歌の歌詞が載っている本です。
長方形で蛇腹の形になっているものが多いです。

準備の仕方

まず、打敷を敷き、その上に道具を置きます。
鈴においては、まず紋を房につけ、その房を鈴につけましょう。

撞木においては、撞木の房穴に房を取り付けましょう。

持ち方と音の鳴らし方

鈴は左手で、紋が目の高さに来るように持ちましょう。
前後に揺らして鳴らす際に、 1回揺らすにつき1度だけ音が鳴るように しましょう。

撞木

撞木は、親指と人差し指で、房穴の近くを持ち、他の指で房を持ちます。
手首を用いて撞木を振り上げて、鉦の ちょうど中央 を狙って打ちます。

葬儀で御詠歌を歌う地域もある

僧侶たち

御詠歌は、寺院を参拝する時や、巡礼地を回る時だけでなく、あらゆる法事で唱えられます。
何の法事で唱えられるかは、各地域における慣習や、宗派ごとに異なります。

その中でも、 近畿地方 など、お葬式で御詠歌が用いられる地域もあります。
最近はあまり行われなくなりましたが、昔は、四十九日を迎えるまで、毎晩御詠歌を唱えていました。

また、お盆にも、家に集った親戚や近所の人によって、御詠歌が唱えられました。

福井県には、 「講」 という、地域の人々の集まりがあり、講に属している女性が、葬儀の際に御詠歌を唱えるという慣習が根付いています。

これらの地域のお葬式に参加する時には、御詠歌を歌う慣習があることを覚えておきましょう。

御詠歌を習う

神社

御詠歌の稽古は、主に寺院で行われています。

御詠歌の稽古では、曲を歌う技術を向上させるだけでなく、姿勢や、座り方、道具を用いる際などの所作など、あらゆることをひっくるめて学ぶことが出来ます。
また、御詠歌の歌詞の意味についても、教えてくださいます。

各地の寺院で行われているので、稽古を受けたいという方は、近くの寺院に問い合わせてみてください。

また、御詠歌には検定試験があります。

流派によって階級の段回数は異なりますが、初級から最高位まであり、検定を受け、合格することで階級を上げることができます。
検定では、鈴や鉦を打敷で包み、先生の元へ持っていくところから評価され、課題曲を唱えます。

御詠歌と声明の違い

違い

御詠歌の検定の合格は、仏様からいただけるものであり、非常に有難いものです。
御詠歌の稽古に慣れてきたら、挑戦してみましょう。

御詠歌は、和歌に音楽をつけ、唱えるものです。
それに比べて、声明(しょうみょう)は、 仏教音楽 であり、仏教の行事において、僧侶が唱えるものです。

主に、 漢文や梵語(ぼんご) をもとにしています。

声明は仏教が日本に伝えられた際に、一緒に伝えられたものであり、日本においても非常に長い歴史があります。
御詠歌の中には、声明を元にして作られたものもあります。

御詠歌は仏の教えを讃えるためにある

御詠歌とは、 仏や仏教の教えを讃えるために、和歌に音楽を付けて唱えられるもの です。
御詠歌を唱えることで初めて、功徳を受けることができます。

御詠歌は霊場の巡礼の際に、寺院で唱えられることが多いです。

御詠歌にはの様々な流派があり、流派によって所作や御詠歌の印象が異なります。
また、御詠歌には音を鳴らす道具が使われます。

御詠歌は、近畿地方や福井県などでは、お葬式でも用いられます。
各地の寺院では、御詠歌の稽古が行われており、検定を受けることで、階級を上げることができます。

御詠歌には、各宗派・流派や寺院の特徴が非常に表れており、御詠歌をよく知ることは、仏教への信仰を深めることに繋がります。
お遍路や巡礼に赴く際には、ぜひ御詠歌を唱えてみてください。

みん終編集部

みん終編集部です! みんなの終活ドットコムでは、終活・ライフエンディング、葬儀のマナーやお墓選びなど、終活の知りたいに答えます!

minnshu.com
みん終編集部